【労務の資格・検定】社労士・衛生管理者などの特徴と選び方

労務の資格・検定 人事労務の学び・おすすめ本

こんにちは、労務女子なおです。

労務の仕事をしていると、「資格を取った方がよいのかな」「社労士の勉強をすれば、労務の知識を一通り学べるのかな」と考えることがあるかもしれません。

労務担当者として働くために、資格が必須というわけではありません。一方で、資格や検定の学習は、普段の担当業務だけでは触れる機会の少ない分野も含めて、知識を体系的に整理するきっかけになります。資格取得を目指すのか、実務に必要な知識を補うのかによって、候補になるものは変わります。労務全般を広く扱うものもあれば、給与計算や安全衛生のように特定分野を深めるものもあります。

資格・検定の全体像

以下は、資格ごとに主に学べる内容と、学習量のイメージです。

資格・検定主に学べること・役立つ場面学習量のイメージ
社会保険労務士労働法・社会保険を広く学ぶ。労務の専門性を高めたい人に。★★★
ビジネス・キャリア検定(労務管理)労使関係、就業管理、安全衛生、福利厚生など、企業の労務業務をまとめて学ぶ。★★☆(3級を想定)
給与計算実務能力検定給与計算、社会保険、税など。給与業務の基礎や実務知識を整理したい人に。★★☆(2級を想定)
衛生管理者職場の健康障害防止や衛生管理。安全衛生を担当する人に。★☆☆(第二種を想定)
メンタルヘルス・マネジメント検定職場のメンタルヘルスケア。休職・復職や健康管理に関わる人に。★☆☆(Ⅲ種を想定)
キャリアコンサルタントキャリア相談や職業生活設計、人材開発に関わる人に。★★★(養成講習等を含む)
年金アドバイザー公的年金や年金相談に関する知識。社会保険・年金業務を担当する人に。★☆☆(3級を想定)
DCプランナー企業年金、確定拠出年金、退職給付制度を担当する人に。★★☆(2級を想定)

星の数は、表に記した級・コースを想定した学習量のイメージです。学習時間や合格難易度を示すものではなく、これまでの知識や実務経験によっても感じ方は変わります。

資格・検定によって、学ぶ範囲や仕事とのつながりは異なります。以下では、労務担当者に比較的関係の深いものを中心に、特徴を見ていきます。

労務の学びに役立つ資格・検定

社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する法律や制度を幅広く学ぶ国家資格です。労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法など、労務担当者が関わる分野を横断して学べます。

労働法や社会保険を広く体系的に学びたい人や、労務の専門性を高めたい人に向いています。一方、試験範囲が広く、合格までに相応の学習が必要です。今の担当業務に必要な知識を短期間で補いたい場合は、関連する分野の書籍や講座から始める方法もあります。なお、試験合格と社労士としての登録は別です。登録には、試験合格などの資格に加え、原則として労働社会保険諸法令に関する実務経験2年以上、または事務指定講習の修了が必要です。目指す場合は、試験後の要件も確認しておきましょう。

今の担当業務に必要な知識を補いたい場合は、関連する分野の書籍や講座から始める方法もあります。社労士試験を目指す通信講座には、フォーサイトの「スピード合格カリキュラム」や、アガルートの「入門カリキュラム」などがあります。教材や質問サポートの内容は講座によって異なるため、利用を考える場合は公式サイトで確認してみましょう。

ビジネス・キャリア検定(人事・人材開発/労務管理)

ビジネス・キャリア検定は、職種ごとに仕事で必要な知識や実務能力を学ぶ検定で、その中に人事・人材開発・労務管理の分野があります。名前だけを見ると、一般的なビジネススキルを幅広く学ぶ試験のように感じるかもしれませんが、そうではありません。

たとえば2級・3級では、人事制度や採用、給与、人材育成などを扱う「人事・人材開発」と、労使関係、就業管理、安全衛生、福利厚生などを扱う「労務管理」に分かれています。労務管理の区分を選べば、会社の労務業務に関わるテーマをまとめて学べる検定です。

社労士のように法律・制度を横断的に学ぶ試験とは少し性格が異なり、企業の人事・労務担当者が実務で扱う仕事のまとまりに沿って知識を整理したい人に向いています。受験資格は設けられていません。級によって想定される経験や知識の深さが異なるため、試験範囲や過去問題を見て選ぶとよいでしょう。

給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定は、給与計算や、それに関連する社会保険・税などの知識を学ぶ検定です。級によって、給与計算の基本、賞与、年末調整など扱う内容が異なります。

給与計算や社会保険手続きを担当する人、労働時間や割増賃金、控除項目などの理解を整理したい人に向いています。給与実務には法令や保険料率の改正も関わるため、試験の勉強だけで完結させず、実際の業務では最新の情報や社内ルールも確認しましょう。

衛生管理者

衛生管理者は、職場の健康障害を防ぎ、衛生環境を管理するための知識を学ぶ資格です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では選任が必要となるため、安全衛生や健康管理に関わる労務担当者にとって、実務とのつながりが分かりやすい資格です。必要な免許の種類は業種などによって異なります。取得を考える場合は、自社の事業場で必要となる要件を確認しましょう。

衛生管理者試験は、テキストや過去問で学ぶほか、講義を受けながら進める方法もあります。たとえば、SMART合格講座には第二種衛生管理者試験向けの講座があります。受験する種類や学習スタイルに合うか、教材や講義内容を確認して選びましょう。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場でのメンタルヘルスケアについて学ぶ検定です。セルフケア、管理監督者によるラインケア、人事労務担当者などが扱う組織的な対策など、立場に応じたコースがあります。

休職・復職や職場の健康管理に関わる人にとって、基本的な考え方を整理するのに役立ちます。資格を取れば個別のケースを一人で判断できるというものではありません。本人の状況や職場環境に応じて、産業医や専門家、社内の関係者と連携するための基礎知識として活用するのがよいでしょう。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、職業選択や職業生活設計、能力開発などの相談・支援に関わる国家資格です。人事の中でもキャリア面談や人材開発、従業員のキャリア形成支援に関わる人には、学びが仕事に結びつきやすいでしょう。労働法や労務管理を広く学ぶ資格とは役割が異なります。労務担当者全員に必要というより、キャリア支援や人材開発を担当する場合に検討したい選択肢です。

キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣が認定する養成講習を修了することも、受験資格を満たす方法の一つです。関連する相談業務の実務経験が3年以上ある場合など、別の受験資格もあります。養成講習は複数の実施機関が行っており、受講方法や費用も異なります。たとえば、パソナや地域連携プラットフォームの講習がありますので、受講を考える場合は内容を確認してみましょう。

年金アドバイザー・DCプランナー

年金分野では、個人の公的年金相談に関する知識を学びたいのか、企業年金や退職給付制度を担当するのかによって、関連する資格が異なります。年金アドバイザーは公的年金や年金相談、DCプランナーは企業年金や確定拠出年金などに関心がある人にとって、学習のきっかけになります。

労務全般を学ぶ資格ではないため、社会保険や年金、退職給付が担当業務に含まれる場合に、試験範囲を確認して検討するとよいでしょう。

資格以外の学び方も組み合わせる

資格や検定は、知識を体系的に学ぶ方法の一つです。書籍、オンライン講座、セミナー、実務での調べものにも、それぞれ異なる使いどころがあります。

学び方特徴・気をつけたい点
書籍・公式テキスト自分のペースで基礎から学べ、必要な箇所を読み返せます。学習計画や疑問の解消は自分で進める必要があります。
オンライン講座・eラーニング講義や教材に沿って学びやすく、短時間ずつ進めることもできます。教材の更新時期、質問サポート、費用などの確認も大事です。
セミナー・勉強会特定テーマや法改正、実務上の論点を短時間で学ぶのに向いています。開催テーマが限られるため、目的に合う内容か確認が必要です。
実務で調べながら学ぶ目の前の業務課題と結びつけて理解できます。一方、個別対応だけでは知識が断片的になりやすいため、書籍や講座で全体像を補うと役立ちます。
資格・検定の学習学ぶ範囲や目標が明確になり、体系的な学びや継続のきっかけになります。試験対策と実務での判断・運用は別に考えるのが良いです。

本を使って学びたい方は、入門書・実務書・基本書の違いや選び方をまとめた以下の記事も参考にしてみてください。
➡【労働法の本の選び方】初心者・人事担当者向けにポイントを解説

具体的なおすすめ本を探している方は、こちらの記事で紹介しています。
➡【人事労務おすすめ本】 労働法の基本を学ぶには?おすすめ厳選8冊を紹介

オンライン講座を選ぶ場合は、知名度や合格実績だけでなく、講義の形式、教材の更新時期、質問サポート、学習期間、費用なども確認しましょう。試験合格を目指す講座と、特定の実務テーマを学ぶ講座では、目的が異なります。

実務で分からないことを調べることも、労務担当者にとって大切な学び方です。法令や行政資料、通達、裁判例、専門書などを確認し、調べた内容と判断の根拠を整理しておくと、次に似た相談を受けたときにも役立ちます。労働法を何から学ぶか、学習の順序について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
➡【労働法の学び方】人事担当者は何から勉強する?おすすめの順番を解説

おわりに

労務担当者に資格や検定の取得は必須ではありません。ただ、資格や検定の学習は、担当業務だけでは見えにくい分野も含めて、知識を体系的に整理するきっかけになります。社労士のように幅広く学ぶものもあれば、労務管理、給与計算、安全衛生、メンタルヘルスなど、実務に近い領域を学べる資格・検定もあります。書籍や講座、セミナー、日々の実務での調べものも、それぞれ役割が異なります。

資格を取ること自体を正解と考えるのではなく、自分の経験や目的に合う方法を選ぶことが大切です。学んだ内容を実務と結びつけながら、必要に応じて基本に戻り、少しずつ知識を広げていけるとよいですね。

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