【介護保険法】制度の仕組み・対象者・保険料を解説

介護保険法 給与・社会保険

こんにちは、労務女子なおです。

介護保険は、40歳から保険料を負担する社会保険制度です。今回は、制度の仕組みや保険料の給与控除、仕事と介護の両立支援との関係を解説します。

介護保険法の概要

介護保険法は、介護を必要とする人が尊厳を保ち、能力に応じて自立した日常生活を送れるよう、介護サービスなどの給付や制度運営のルールを定めた法律です。1997年に制定され、介護保険制度は2000年に始まりました。

高齢化や核家族化が進み、介護を家族だけで担うことが難しくなるなか、介護を社会全体で支える仕組みとして設けられています。介護保険法第1条にも、「国民の共同連帯の理念」に基づいて制度を設けることが示されています。

介護保険制度は、医療保険や年金保険と同じ社会保険の一つです。社会保険全体の位置づけは、以下の記事で解説しています。
➡【社会保険】医療、介護、年金、労災、雇用?概要をわかりやすく解説

介護保険制度の仕組み

介護保険の保険者は、市町村と特別区です。被保険者が介護を必要とする状態になった場合、市区町村に申請して要介護認定または要支援認定を受け、認定内容に応じた介護サービスを利用します。

介護サービスは、訪問介護や通所介護、短期入所、施設サービスなど多岐にわたります。利用者は、原則としてサービス費用の1割を負担しますが、所得に応じて2割または3割となる場合があります。サービスの種類や支給限度額など、利用できる範囲には制度上のルールがあります。

被保険者とサービスの対象

介護保険の被保険者は、年齢などにより第1号被保険者と第2号被保険者に分かれます。保険料を負担する人の範囲と、介護サービスを利用できる要件が異なります。

区分対象者介護サービスを利用できる要件
第1号被保険者65歳以上の人原因を問わず、要介護・要支援認定を受けた場合
第2号被保険者40歳以上65歳未満の医療保険加入者末期がんや脳血管疾患など、法令で定める特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合

第2号被保険者は、40歳以上であれば誰でも介護サービスを利用できるわけではありません。介護が必要になった原因が、特定疾病に該当することが要件です。特定疾病には、初老期における認知症、脳血管疾患、関節リウマチ、末期がんなど16種類が定められています。

介護保険料の負担と徴収

介護保険料は、第1号被保険者と第2号被保険者で徴収方法が異なります。

第1号被保険者の保険料は、市区町村が徴収します。保険料額は、各市区町村が介護保険事業計画などに基づいて定め、原則として年金から天引きされます。年金額などによっては、納付書や口座振替で納める場合もあります。

第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険の保険料とあわせて徴収されます。会社の健康保険に加入する従業員の場合、介護保険料は健康保険料と同様に、原則として事業主と従業員が半分ずつ負担します。給与や賞与から控除されるため、給与計算では、従業員が40歳に達したときの保険料控除の開始と、65歳到達後の取扱いを確認する必要があります。

たとえば、標準報酬月額が30万円で、介護保険料率を仮に1.6%とすると、月額保険料は合計4,800円です。労使折半の場合、従業員負担は2,400円、事業主負担も2,400円となります。実際の保険料率は加入先によって異なり、賞与にも保険料がかかります。

なお、法令上、年齢は誕生日の前日に達するものとして扱われます。そのため、介護保険料の控除開始月は誕生日だけで判断せず、資格取得日と加入先の医療保険者の案内に沿って確認しましょう。月の初日に生まれた人は、誕生日の前月から保険料が発生する場合があります。

65歳になると第1号被保険者に切り替わり、介護保険料は市区町村が徴収します。会社の健康保険料と一緒に控除する第2号被保険者の保険料とは取扱いが変わるため、給与システムの設定や控除額を確認しておくことが大切です。実際の控除時期は、加入先の健康保険や給与の控除方法も踏まえて確認してください。

人事労務担当者が押さえたい実務

従業員が40歳になると、第2号被保険者として介護保険料の負担が始まります。対象者の年齢情報を給与計算に反映し、加入している健康保険の保険料率や控除方法に沿って処理することが基本です。保険料率は加入先や年度によって異なるため、固定の金額を一律に設定するのではなく、保険者の案内を確認しましょう。

また、介護保険の加入や保険料負担は、従業員本人や家族が介護サービスを利用するための制度です。従業員が家族を介護しながら働くための休業・休暇や勤務上の支援は、主に育児・介護休業法に定められています。介護保険法と育児・介護休業法は、関連はありますが目的と対象が異なる制度です。

2025年4月からは、育児・介護休業法により、事業主は介護に直面する前の早い段階で、介護休業や仕事と介護の両立支援制度などに関する情報を労働者へ提供することが義務付けられました。情報提供の時期は、労働者が40歳に達する年度、または40歳に達した日の翌日から1年間のいずれかです。厚生労働省は、あわせて介護保険制度について周知することも望ましいとしています。

介護休業や介護休暇など、法定休暇の種類については、以下の記事も参考にしてください。
➡【特別休暇】休暇の種類や法定休日との違いは?概要をわかりやすく解説

おわりに

介護保険法は、介護を必要とする人の生活を社会全体で支えるための制度を定めています。65歳以上の人と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者が被保険者となり、年齢区分によってサービスを利用できる要件や保険料の徴収方法が異なります。人事労務担当者は、40歳到達時や65歳到達時の保険料控除を適切に処理するとともに、従業員が介護に直面したときに利用できる両立支援制度を案内できるよう、介護保険法と育児・介護休業法の役割を分けて理解しておきましょう。

介護保険料は、会社の健康保険料とあわせて徴収されます。健康保険の保険料や給付の仕組みについては、以下の記事も参考にしてください。【健康保険法】制度の仕組みと給付をわかりやすく解説
➡【健康保険法】制度の仕組みと給付をわかりやすく解説

【参考】
・e-Gov法令検索 介護保険法
・厚生労働省 介護保険制度について(40歳になられた方へ)
・厚生労働省 介護保険とは
・厚生労働省 育児・介護休業法の改正ポイント(介護に直面する前の早期の情報提供)

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