【事業場外のみなし労働時間制】テレワークでは?概要をわかりやすく解説

事業場外のみなし労働時間制 勤務・働き方

こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『事業場外のみなし労働時間制』に関して、3分程度で概観できるよう解説します。

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事業場外のみなし労働時間制とは

企業に勤める会社員の働き方を規定する勤務形態には、いくつかの種類があります。
その中でも『事業場外のみなし労働時間制』は、みなし労働時間制の1つで、あらかじめ定めた労働時間を働いたこととみなす勤務形態です。
同制度は、労働基準法第38条の2に定められています。

事業場外のみなし労働時間制含めて、勤務形態は大きく以下の7つに分類されます。
それぞれの概要については以下で紹介しています。
 ➡ 【勤務形態】働き方の種類と特徴は?概要をわかりやすく解説

  • 通常の労働時間制(固定時間制)
  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 事業場外のみなし労働時間制
  • 裁量労働制
  • 高度プロフェッショナル制度
  • 管理監督者
勤務形態一覧(事業場外のみなし労働時間制)

事業場外のみなし労働時間制は、以下の考え方を原則としています。
労働者が、仕事の全部または一部を事業場外で従事し、労働時間の算定が困難な場合に、原則として、所定労働時間労働したものとみなすことが可能です。
また、業務を遂行するために通常所定労働時間を超える必要な場合には、業務遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすこととなります。この場合に、労使協定が締結されている際は、協定で定める時間労働したものとみなすことが可能です。

事業場外のみなし労働時間のパターン

事業場の外で働く場合で、労働時間の算定が難しい外回りの営業職に多い働き方です。

一方、スマートフォン等の情報通信機器の普及や勤務管理システムの機能向上などにより、後述する本制度の導入要件を満たす状況は減ってきていると言えます。
本制度が1987年(昭和62年)の法改正によって創設されたものであり、当時の労働時間算定を取り巻く環境が現代とは大きく異なることには注意が必要です。

導入要件(テレワークでの利用など)

事業場外のみなし労働時間制を導入するにあたり、労働時間の算定が困難であり、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、通常必要時間を労使協定により定めることが可能です。当該労使協定には、①対象とする業務、②みなし労働時間、③有効期間を締結する必要があります。
また、労使協定で定めるみなし労働時間が、法定労働時間(1日8時間)を超える場合には、所轄労働基準監督署への届出が必要になります。

加えて、事業場外のみなし労働時間制を導入するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 労働者が、仕事の全部又は一部を、事業場外で従事していること
  • 使用者の具体的な指揮監督が及ばないこと
  • 労働時間の算定が困難な業務であること

裏を返せば、これらの要件を満たさない場合には、事業場外のみなし労働時間制の適用はできません。
1988年(昭和63年)の旧労働省の通達においても、以下の場合は適用にならないとされています。

  • 何人かのグループで、事業場外での業務に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
  • 事業場外で労働する場合、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
  • 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに労働し、その後、事業場に戻る場合

では、テレワーク(在宅勤務)への適用についてはどうなのでしょうか。
テレワークを行う従業員を想定し、事業場外のみなし労働時間制を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
  • 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
  • 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

例えば、仕事専用の個室を確保する等、仕事とプライベートとが混在せず、労働時間と日常生活の時間とを明確に分けることができる場合には、労働時間が算定できるとみなされます。

また、使用者の指示により常時通信可能な状態である場合や、随時使用者の具体的な指示に基づいて業務が行われる場合についても、労働時間が算定できるとみなされ、事業場外のみなし労働時間制は適用できません。

以上のように、事業場外のみなし労働時間制の適用可否の判断については、その解釈が単純ではない点に留意が必要で、最終的には、実際の具体的な状況に応じて個別に判断されることとなります。 繰り返しになりますが、本制度が1987年(昭和62年)の法改正によって創設されたものである点は念頭に置く必要があると言えます。

おわりに

この記事では『事業場外のみなし労働時間制』について解説してきました。
以上、見てきた通り、事業場外のみなし労働時間制は、あらかじめ定めた労働時間を働いたこととみなす勤務形態です。
コロナ禍でテレワークの普及が進んでいる昨今、みなし労働時間制への注目が高まっていますが、同時に、スマートフォン等の情報通信機器の普及や勤務管理システムの機能向上など、世の中の状況も大きく変化しており、事業場外のみなし労働時間制の適用要件を満たす状況は減ってきていると言えます。
企業の人事労務担当者は、こうした要件を正しく理解することが重要となります。

【参考】
e-Gov 労働基準法
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 事業場外労働に関するみなし労働時間制の適正な運用のために

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