【通常の労働時間制】固定時間制の概要をわかりやすく解説

固定時間制 勤務・働き方

こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『通常の労働時間制固定時間制とも呼ばれます)』に関して、3分程度で概観できるよう解説します。

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通常の労働時間制(固定時間制)

企業に勤める会社員の働き方を規定する勤務形態には、いくつかの種類があります。
その中でも『通常の労働時間制(固定時間制)』は、1日8時間、週40時間(法定労働時間)の範囲内で働く勤務形態です。

平日9時~18時までなど、就業規則に定められた時間に働く一般的な働き方であり、勤務時間が固定されているので、勤怠管理がしやすい制度です。
一方、それ以外の「変形労働時間制」、「フレックスタイム制」、「事業場外のみなし労働時間制」、「裁量労働制」などは、この通常の労働時間制(固定時間制)の例外的、弾力的な取り扱いとなる制度と言えます。

通常の労働時間制(固定時間制)含めて、勤務形態は大きく以下の7つに分類されます。
それぞれの概要については以下で紹介しています。
 ➡ 【勤務形態】働き方の種類と特徴は?概要をわかりやすく解説

  • 通常の労働時間制(固定時間制)
  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 事業場外のみなし労働時間制
  • 裁量労働制
  • 高度プロフェッショナル制度
  • 管理監督者
勤務形態一覧(通常の労働時間制)

労働時間制の原則

通常の労働時間制を理解するためには、労働基準法で定められている原則を認識しておくことが、その基本となります。

労働時間に関しては、法令で労働時間の上限が定められています。これを法定労働時間と言います。
労働基準法第32条には「使用者は、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」旨の記載があり、この原則を守らなければなりません。

【労働基準法第32条】条文一部抜粋

(労働時間)
第三十二条
 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

この原則を超えて労働させるためには、後述する要件、いわゆる36協定、を備える必要があります。

ちなみに、特例措置対象事業場して、「商業」、「映画・演劇業(映画の製作の業務を除く)」、「保健衛生業」、「接客娯楽業」のうち、常時10人未満の労働者を使用する事業場の上限は、1日8時間、1週44時間となっており、対象は限定的ですが、取り扱いが微妙に異なります。

一般的に“残業”と言われる行為は、この36協定を締結することによって可能となっています。
また、労働時間に関連する内容として、休憩に関しても、労働基準法第34条に「使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない」旨の記載があります。

【労働基準法第34条】条文抜粋

(休憩)
第三十四条
 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

加えて、休日に関しても、労働基準法第35条に「使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」旨の記載があります。

【労働基準法第35条】条文抜粋

(休日)
第三十五条
 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

なお、『休日』の詳細は以下で解説しています。
 ➡ 【休日】労働基準法における定義や法定休日とは?概要をわかりやすく解説

通常の労働時間制(固定時間制)については、労働基準法で定められているこれらの原則を守りながら運用されている働き方ということになります。

一方で、この通常の労働時間制(固定時間制)において、就業規則に定められた時間を超えて働く場合は、どのような考え方になるのでしょうか。
それを可能とする仕組みが、労働基準法第36条であり、”36条”であるということで、一般的に「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。

労働基準法第36条には「使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められる」旨の記載があります。

【労働基準法第36条】条文一部抜粋

(時間外及び休日の労働)
第三十六条
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

つまり、労使協定である36協定を締結することによって、前述の法定労働時間を超えて、または、法定休日に働かせることが可能ということです。
36協定を締結する場合も、青天井でいくらでも働かせることが可能になるということではなく、時間外労働には限度が設けられていますので、その基準におさまる範囲にしなければなりません。

なお、『36協定』の詳細については以下で解説しています。
 ➡ 【36協定】残業時間の上限規制とは?概要をわかりやすく解説

おわりに

この記事では『通常の労働時間制』について解説してきました。
通常の労働時間制(固定時間制)は、就業規則に定められた時間に働く一般的な制度ですが、その基本は、労働基準法に定められた原則によるものとなります。
企業の人事労務担当者は、この原則を正しく理解した上で、この通常の労働時間制(固定時間制)を運用する必要があります。

【参考】
e-Gov 労働基準法
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 週40時間労働制

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