【ひとり親の就業支援に関する特別措置法】概要をわかりやすく解説

母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法 雇用・両立支援

こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法』に関して3分程度で概観できるよう解説します。

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母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法とは

母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法とは、子育てと就業との両立が困難な状況等にある母子家庭の母および父子家庭の父の置かれている特別な事情に鑑みて、就業の支援に関する特別な措置を講じ、その支援に関する施策の充実を進めるための法律です。

同法は、2012年9月7日に成立し、2013年3月1日に施行されました。
主に、国の措置に関する内容を中心とした法律となっており、企業に対する義務や罰則規定はありません

同法の目的は、以下の条文の通り、第1条に規定されています。
各法律の第1条には、その法律の目的や趣旨が定義されており、当該法律の概要を理解することに役立ちます。

【母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法 第1条】 条文抜粋

(目的)
第一条
 この法律は、子育てと就業との両立が困難であること、就業に必要な知識及び技能を習得する機会を必ずしも十分に有してこなかったこと等の母子家庭の母が置かれている特別の事情並びに子育てと就業との両立が困難であること等の父子家庭の父が置かれている特別の事情に鑑み、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別の措置を講じ、もって母子家庭及び父子家庭の福祉を図ることを目的とする。

同法において、国は、母子及び寡婦福祉法の基本方針について、父子家庭の父の就業の支援に関する事項を併せて定めること、また、母子家庭の母及び父子家庭の父の安定した就業を確保するための支援に特別の配慮をすることとしています。
また、都道府県等は、自立促進計画について、基本方針に即し、職業能力の開発及び向上の支援その他母子家庭の母及び父子家庭の父の安定した就業を確保するための支援に特別の配慮をすることとしています。
加えて、国及び地方公共団体は、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るための措置を講ずるに当たって、①情報通信技術等に関する職業能力の開発及び向上、②情報通信ネットワークを利用した在宅就業等多様な就業の機会の確保、③上記①②に関する業務に従事する人材の養成及び資質の向上を、留意事項として定めています。

その他、政府は、同法に基づき、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する施策の実施の状況について、厚生労働省およびこども家庭庁ホームページに公表され、施策の実施状況のフォローアップが実施されることとなっています。

事業主の対応

同法には、民間事業者に対する協力の要請(第5条)に関して定められた内容も記載があり、企業の人事労務担当者として、理解を深めておく必要があります。
具体的な条文は、以下の通り、第5条に規定されています。

【母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法 第5条】 条文抜粋

(民間事業者に対する協力の要請)
第五条
 国は、第一条に規定する母子家庭の母が置かれている特別の事情及び父子家庭の父が置かれている特別の事情に鑑み、民間事業者に対し、母子家庭の母及び父子家庭の父の優先雇用その他の母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るために必要な協力を求めるように努めるものとする。

同法に基づき、厚生労働省、および、2023年4月に発足したこども家庭庁は、企業に対して、ひとり親を巡る状況の理解を促し、以下のような就業促進を働きかけています。

ひとり親を雇用する事業主が活用できる助成金

特定求職者雇用開発助成金
①「特定就職困難者コース」:ハローワークなどの紹介で、ひとり親を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に、賃金の一部に相当する額を助成します。
②「成長分野等人材確保・育成コース」:(ア)就労経験のない職業に就くことを希望するひとり親を、成長分野(デジタル、グリーン)の 業務に従事する労働者として雇い入れる事業主、または、(イ)就労経験のない職業に就くことを 希望するひとり親を雇い入れ、人材育成を行い賃金引き上げを行う事業主に、特定就職困難者コー スより高額の助成金を支給します。

トライアル雇用助成金
ハローワークなどの紹介で、ひとり親を一定期間(原則3か月)試行雇用する事業主に、対象者1 人当たり月額最大5万円(最長3か月間)の助成金を支給します。

キャリアアップ助成金の加算
ひとり親を正社員化した事業主には、加算措置により増額した助成金を支給します。

母子・父子福祉団体等への業務発注のお願い

国は、母子・父子福祉団体や複数存在するひとり親家庭の支援を目的とした特定非営利法人(NPO)への積極的な業務発注の協力をお願いしています。
なお、母子・父子福祉団体とは、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に基づく、ひとり親家庭と寡婦の 福祉の向上を目的とした団体であり、母子・父子福祉団体は、母子家庭等就業・自立支援センターの運営をはじめ、育児・子育て関連業務や講習会・セミナーの運営などの経験、スタッフともに豊富です (団体により業務内容は異なる)。

おわりに

この記事では『母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法』について解説してきました。
母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法は、子育てと就業との両立が困難な状況等にある母子家庭の母および父子家庭の父の置かれている特別な事情に鑑みて、就業の支援に関する特別な措置を講じ、その支援に関する施策の充実を進めるための法律です。企業に対する法的な義務はありませんが、様々なライフイベントや事情を抱えた従業員を雇用する企業の人事労務担当者としても、同法を理解し、適切に対応することが必要となります。

【参考】
e-Gov 母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法
こども家庭庁 ひとり親家庭等関係

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