こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『特別休暇』に関して、3分程度で概観できるよう解説します。
特別休暇
特別休暇とは、企業が任意で設けている休暇のことをいいます。具体的には、慶弔関連の休暇や病気の際に取得できる休暇や両立支援を目的とした休暇などが挙げられます。
一般的に、特別休暇の他に、「法定外休暇」、「特休」等と呼ばれています。
メリット
特別休暇を導入することのメリットは、その休暇の目的にもよりますが、主に以下のポイントが挙げられます。
【会社視点】
- 従業員のエンゲージメント向上につながる
- 心身のリフレッシュを促し、生産性向上が期待できる
- 採用競争力や企業のイメージ向上につながる
- 特定の事由に関して、従業員に対する会社の姿勢が伝わる
【従業員視点】
- 特定の事由が生じた場合、年次有給休暇を使用せずに休暇を取得できる
- 心身をリフレッシュできる
デメリット
一方、特別休暇の導入に際しては、以下のポイントに留意が必要です。
- 休暇の取得が重なる等、人員不足になるリスクがある
- 年次有給休暇の取得率が下がるリスクがある
- 社員の理解が進まず、形骸化してしまうリスクがある
特別休暇と法定休暇
特別休暇は、法律に定められている休暇ではなく、法定外休暇ということになります。
一方、多くの方に馴染みがある休暇の「年次有給休暇」については、労働基準法第39条に定められている法定休暇であり、要件を満たす全ての労働者への付与が義務になっています。
法定休暇には、年次有給休暇の他に、産前産後休業(労働基準法第65条)、生理休暇(労働基準法第68条)、育児休業(育児介護休業法第5条)、子の看護休暇(育児介護休業法第16条の2)、介護休暇(育児介護休業法第16条の5)、介護休業(育児介護休業法第11条)などがあります。
その意味で、特別休暇と法定休暇には、法律上の違いがあります。
なお、年次有給休暇の詳細は以下で解説しています。
➡ 【年次有給休暇】年5日の取得義務とは?概要をわかりやすく解説
特別休暇の種類
特別休暇は、企業が独自に設けることができるため、その企業の目的によって、その内容も多種多様です。
例えば、特別休暇として導入されている例としては以下が挙げられます。
- 慶弔休暇
- 病気休暇
- 夏季・冬季休暇
- ボランティア休暇
- リフレッシュ休暇
- バースデー休暇
- アニバーサリー休暇
- 裁判員休暇
- 教育訓練休暇
- 災害時等の特別休暇
- 新型コロナワクチン休暇
- 不妊治療休暇
特別な事情に配慮した休暇や、心身のリフレッシュを促すための休暇、何らかの記念日に取得できる休暇、社外活動のための休暇など、多種多様です。
最近では、自然災害、少子化、新型コロナウイルスの感染拡大など、社会課題に関連する状況を踏まえた休暇を導入する事例も出ています。
同じ名称の休暇であっても、企業によって、その取得要件、有給か無給か、付与日数等、詳細な取り扱いもそれぞれで異なります。
導入方法
企業の人事労務担当者は、特別休暇の導入にあたり、以下のステップを踏むことになります。
企業の事業環境、組織風土、現状の課題等を踏まえた制度設計、運用が重要です。
① 目的を決める
② ルール(付与の条件、有給か無給か、付与日数、取得期限、申請方法)を決める
③ 就業規則に定める
④ 社員へ周知する
⑤ 効果的に運用する
特別休暇に限ったことではありませんが、「流行りだから」、「競合他社が導入しているから」、「キャッチーだから」などといった表面的な理由で導入することがないよう、自社の状況を踏まえた検討が必要となります。
おわりに
この記事では『特別休暇』について解説してきました。
特別休暇は企業が独自にその目的、ルールを決定の上導入する休暇です。
その分、企業のカラーが映し出されるため、従業員に対してのみならず、社外のステークホルダーからも、企業の姿勢が問われる側面が小さくありません。
最近では、世の中や働く人々の要請にいち早く対応したり、ユニークでキャッチーな休暇をアピールしたりすることで、特別休暇を有効に活用している企業も増えています。
特別休暇の導入理由は企業それぞれですので、企業の人事労務担当者としては、その目的を充分に検討し、適切な形で導入、運用していくことが重要となります。
【参考】
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 特別な休暇制度とは