【LGBT理解増進法】企業の対応は?概要をわかりやすく解説

LGBT理解増進法 雇用・両立支援

こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『LGBT理解増進法』に関して3分程度で概観できるよう解説します。

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LGBT理解増進法とは

LGBT理解増進法とは、LGBTなど性的少数者らへの理解を促す取り組みに関して定めた法律です。具体的には、「性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものである」との基本理念を示し、国や地方自治体など、理解の増進や環境整備に取り組むことを努力義務として定めています。

正式名称を「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」といい、通称「LGBT理解増進法」、「LGBT法」と呼ばれています。
2023年5月に議員立法として提出され、同年6月23日に通常国会で成立し、同日施行されました。なお、同法は理念法であり、罰則規定はありません

同法の目的は、以下の条文の通り、第1条に規定されています。
各法律の第1条には、その法律の目的や趣旨が定義されており、当該法律の概要を理解することに役立ちます。

【LGBT理解増進法第1条】 条文抜粋

(目的)
第一条
 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵(かん)養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。

同法における「性的指向」と「ジェンダーアイデンティティ」については、第2条にてその定義が記されています。
性的指向」は、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいい、「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいうこととしています。

事業主の対応

同法には、事業主の対応に関して定められた内容も記載があり、以下にて、企業の人事労務担当者として、適切に理解・対応を準備しておく必要のある内容について説明します。
同法は、第6条1項にて事業主等の努力すべき事項を、第10条の2項にて事業主が知識の着実な普及等のために努力すべき事項を定めています。

労働者の理解増進のため自ら努めること

  • 普及啓発
  • 就業環境の整備
  • 相談の機会の確保等

労働者の理解を深めるための措置

  • 情報の提供
  • 研修の実施
  • 普及啓発
  • 就業環境に関する相談体制の整備
  • その他の必要な措置

具体的な条文は以下の通りです。

【LGBT理解増進法第6条1項、第10条2項】 条文抜粋

(事業主等の努力)
第六条
 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(知識の着実な普及等)
第十条

 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

なお、トランスジェンダーに関する法律に関連して、性別変更に関する法律である『性同一性障害特例法』の詳細については、以下で解説しています。
 ➡ 【性同一性障害特例法】性別変更の要件?概要をわかりやすく解説

おわりに

この記事では『LGBT理解増進法』について解説してきました。
LGBT理解増進法は、LGBTなど性的少数者らへの理解を促す取り組みに関して定めた法律であり、多様な従業員を雇用する企業の人事労務担当者としても、同法を正しく理解し、適切に対応することが重要となります。

【参考】
内閣府 性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進

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