こんにちは、IT企業で人事をしている労務女子なおです。
本記事では『若者雇用促進法』に関して、3分程度で概観できるよう解説します。
若者雇用促進法とは
若者雇用促進法とは、青少年の雇用の促進等の取り組みに関して定めた法律です。具体的には、若者の適切な職業選択の支援や職業能力の開発・向上に関する措置等について総合的に規定しています。
正式名称を「青少年の雇用の促進等に関する法律」といい、1970年に施行された「勤労青少年福祉法」が2015年に改正されました。 「青少年雇用促進法」とも略されることもあります。
同法の目的は、以下の条文の通り、第1条に規定されています。
各法律の第1条には、その法律の目的や趣旨が定義されており、当該法律の概要を理解することに役立ちます。
【若者雇用促進法第1条】 条文抜粋
(目的)
第一条 この法律は、青少年について、適性並びに技能及び知識の程度にふさわしい職業(以下「適職」という。)の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずることにより、雇用の促進等を図ることを通じて青少年がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
同法の主な内容は、以下の3つが大きなポイントとなります。それぞれの詳細は後述します。
- 職場情報の積極的な提供
- ハローワークにおける求人不受理
- ユースエール認定制度
その他、国の取り組みとして、ジョブカード(職務経歴等記録書)の活用、地域若者サポートステーション、中退者の就職支援などが規定されています。
なお、「青少年」の対象については、厚生労働省告示の「青少年雇用対策基本方針」において、以下の通り定義されています。
- 35歳未満の者
- 個々の施策・事業の運用状況等に応じて、おおむね「45 歳未満」の者も対象とすることは妨げない
- 現に働いている者に限らず、求職者やニート等の青少年も含まれる
若者雇用促進法の主な内容
同法に関して、企業の人事労務担当者として適切に理解しておくべき主な3つの制度を説明します。
職場情報の積極的な提供
新卒段階でのミスマッチによる早期離職を解消し、若者が充実した職業人生を歩んでいくことを目的に、労働条件や職場情報を提供する仕組みが制度化されています。
具体的には、新卒者の募集を行う企業に対して、①幅広い情報提供をすること、②応募者等から求めがあった場合は、青少年雇用情報の3類型((ア)募集・採用、(イ)職業能力の開発・向上、(ウ)雇用管理)ごとに1つ以上の情報提供をすることが努力義務となっています。
青少年雇用情報の3類型は以下の通りです。
情報提供の方法は、自社ホームページや就職情報サイトへの掲載、メール、書面による提供が想定されます。
ハローワークにおける求人不受理
ハローワークにおいて、一定の労働関係法令違反があった企業について、新卒求人を一定期間受け付けない仕組みが制度化されています。
具体的な不受理の対象は以下の通りです。
労働基準法と最低賃金法に関する規定について
- 1年間に2回以上、同一条項の違反について是正勧告を受けている場合
- 違法な長時間労働を繰り返している企業として公表された場合
- 対象条項違反により送検され、公表された場合
男女雇用機会均等法と育児介護休業法に関する規定について
- 法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合
ユースエール認定制度
若者の採用・育成に積極的であり、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業に対して、厚生労働大臣が 「ユースエール認定企業」として認定する制度です。
対象となる中小企業は、常時雇用する労働者が300人以下の事業主となっています。
認定された企業は、以下の認定マークを商品や広告などに使うことができます。 この若葉の形は、若者がやる気に満ちあふれ、腕をふるう姿を、赤い丸はその活力を意味し、若い力で日本の活力を上昇させていくイメージを表現しているそうです。
2023年12月末現在、1,154社の企業がユースエール認定企業として認定されています。
認定されるためには、以下の12の認定基準全てを満たす必要があります。
認定を受けることのメリットとして、①ハローワーク等での重点的PRの実施、②認定企業限定の就職面接会などへの参加、③自社の商品、広告などに認定マークが使用可能、④関係助成金(トライアル雇用助成金、キャリアアップ助成金等)の優遇措置、⑤日本政策金融公庫による低利融資、⑥公共調達における加点評価などを受けることができます。
おわりに
この記事では『若者雇用促進法』について解説してきました。
若者雇用促進法は、若者の雇用とキャリア支援を促進することを目的としており、新卒者をはじめとした若者を募集・採用する企業の人事労務担当者としても、同法を正しく理解し、適切に対応することが重要となります。
なお、若者の雇用促進とは異なり、『年少者・児童の労働(労働制限・禁止)』に関しての詳細は以下で解説しています。
➡ 【年少者・児童】労働基準法の適用は?概要をわかりやすく解説
【参考】
e-Gov 青少年の雇用の促進等に関する法律
厚生労働省 青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について